社会的痛み(二次的喪失)
社会的痛み(二次的喪失)とは
死別による喪失は、根本的には人的な損失と言えますが、ここで大切なのは、大きな喪失が及ぼす範囲は長期的で、複次的なものである、ということです。最初の喪失(死)は波紋を広げ、社会的な影響として二次的喪失、場合によっては三次的喪失を生みます。
喪失当初には、この二次的喪失には気が付きにくいこともありますが、グリーフが進むにつれ、失くしたのは人だけではないのだという事に気づき、さらなる痛みを感じることもしばしばです。
二次的喪失の例
家庭内の役割の変化
- 伴侶がいないので何かしてあげられない、という気持ち
- 誰にも役立っていないのではないかという感情
- 母を亡くした子へのケアのために父が母親役もこなす必要がある
社会的立場の変化
- もう、~~さんの奥さん、~~ちゃんママではない
- 看病のために会社を休みがちだったら閑職に配置換えされた
- 「男やもめ」「未亡人」「子を亡くした親」としてスティグマを感じる
遺された者の間での軋轢
- 家族内のバランスが崩れ、本来支えあうはずの家族が支えあえない。(詳しくは家族とグリーフを参照)
- 遺族間でのトラブル(葬儀、相続)などによる人間関係の悪化
- 「この人ならわかってもらえる」と思っていた親友から心無い言葉をかけれ、許せない
環境の変化
- 一人住まいになった
- 夫の死による収入の激減
- 転居、転職を余儀なくされ、場合によっては今までの人間関係を失う
- 故人の行っていた家庭内での役割を満たすために様々なスキルを習得する必要がある(料理、掃除、庭の木の枝切り、自家用車関係の管理など今まで故人が行ってきた事を自分でやる必要がある)