出来事と想いを語る
親しい人と話をする
親しい人に話を聞いてもらうのが、親しい人を失った時に一番良い方法です。「こんな話を、何度も聞かせて迷惑じゃないかしら」と思うかもしれませんが、あなたの気持ちをそのまま受け止めてくれる人が周りにいます。死の前後の話、悲しい気持ち 、困難だと思っている事、困っている事、不安だと思っている事、故人の良い思い出、自分の心に浮かんできて自分が戸惑ってしまう気持ち、他の家族はその死をどう受け止めているか、など、心に浮かんでくることは何でも話してよいのです、
- 話したくない時はなさなくてよいのです。話すに適当な時期があります。
- 死の様子、自分の身に起こったことを話す事をためらう必要はありません。
- 「大丈夫」「少し元気になってきた」などと言って、相手を喜ばせる必要はありません。自分でそう言ってしまうと、次から「大丈夫」な話をしなければいけなくなり、お話をするのがかえってつらくなります。
- 何度も同じ話をしても良いのです。そして、話はその時毎に少しずつ違っていても大丈夫です。思い返すうちに、死の様子や意味は違って思われるものです。
- 繰り返し頭に浮かぶことを、そのまま言ってみましょう。素晴らしい「お話」をする必要はありません。
それほど親しくない人と話をする
一種逆説的かもしれませんが、それほど親しくない人に話を聞いてもらうのも、一つの方法です。
周りの親しい人は、あなたと故人の事を知りすぎているため、「当然理解してもらえる」という期待も高く、そうでないと逆に「自分の気持ちを理解してくれない」事がことさら辛く感じることもあります。また、あなたの回復を願うあまりの言動が、「うっとうしい」と感じる事もあるかもしれません。
こんな時には、あまり親しくない人に話を聞いてもらうのも一法でしょう。学生時代に親しかったが、最近疎遠な友人、仲のよかった以前の職場の同僚、自助グループの仲間、カウンセラーなどがこのカテゴリーに入るかもしれません。「友人が信じられない時、一番の友人は他人」ということもあり得るのです。
自分と話をする
人によっては、自分と語るのが一番の方法だ、と感じる人もいます。小さな声を出して自分に語りかけてみましょう。
故人と語る
もちろん、故人と語ることも可能です。ある研究によると、伴侶を亡くした男女の半数以上が、死別体験一年間、亡くなった伴侶の存在をずっと感じており、そのうち多数が「伴侶と定期的に話す」と報告しています。思ったより多くの人が故人と話をしており、また、故人からのメッセージも受け取ることができる、と感じる人もいるようです。あなたの問いに、故人は答えてくれるでしょうか。