実践的グリーフとの付き合い方

このセクションは、大切な人を亡くした方、そしてそういった方を家族として、友人として支えたいと思っている方を読者と想定して書かれています。死別の悲しみの強さに驚き、戸惑い、「この辛さを、どの位耐えていかなければいけないのか」、「自分はおかしくなってしまうのではないか」と感じている方々に、グリーフとは何か、どんなことが起こりえるのか、喪失と付き合っていくのにはどうしたらよいのか、などの実践的な方法を紹介したいと思います。

※ここにある情報は出来るだけバランスを取り、また、正確で有益であることを目標としています。ですが、情報を取捨選択するのは読者の皆さんですので「役に立つと思う考えは取り入れ、そうでないものは無視する」事としてください。

最初に知っていただきたいこと

死別に対する心構えが出来ている人はいない

死別に対する心構えが出来ている人は、ほとんどいません。突然の死はもちろんの事、長い闘病を経た方が亡くなった場合でも、その死は突然で、遺された者は戸惑い、不安に感じるのが当然です。

死別の悲しみは自然な事

死別を体験した時に、その死を悼み、悲しむことは当然で自然なことです。故人との絆が強ければ、強い程、その絆を引き裂かれる痛みも大きくなります。その痛みは、思いもかけず大きく、自分の反応はあまりに激しく、時には自分には普通でないように思えることもあるかもしれません。それでも、そういったあなたの感じている痛みや、あなたの反応は全く自然なことです。

死別の悲しみの表れは人により全く違う

死別の悲しみの表れは、人によって全く違う形を取ります。それはまるで、亡くなった人が世界でただ一人の人であったのと同じように、痛みもあなた一つの形を取っているかのようです。あなたの胸には、悲しみや寂しい気持ちだけでなく、様々な感情が湧き上がってくることでしょう。それは、時に、怒り、自責感、無力感など「いやな気持」としてもあなたを訪れるかもしれません。あるいは、不眠や、頭痛と言った肉体的な痛みとしてあなたを訪れるかもしれません。それとも、何も感じない、亡くなった人の声が聞こえた気がする、といった形で現れるかもしれません。それでも、それぞれの悲しみはあなたの悲しみとして認めてもらいたがっています。

心にある感情は表現されることを望んでいる

心にある感情は、何らかの形で表現されることを欲しています。号泣する人も、もっと抑制された表現を好む人もいるでしょう。表現の方法はともあれ、心の中の気持ちは、表現される事、そして、誰かに向かって表現されることを望んでいます。あなたは自分の心の中に留めておき切れないほどの物を失ったのです。

死を乗り越える必要はない

失った人をこの世に呼び戻す方法はありません。私たちは、あなたがいくら「気を強く」「しっかりして」も、本当に大切な死を「乗り越えた」り、「立ち直った」り、死の衝撃から「回復した」りすることは、残念ながら、難しい事だと考えています。しかし、その人がいな世界に適応して、意味のある人生を送り続けることは出来ると考えています。死は乗り越えずに共に生きるものだと考えてください。

死別の悲しみはいつか弱まるが、時間がかかる

全く、信じられない事に感じられるかもしれませんが、その引き裂くような痛みは、いつか弱まっていきます。そういう日が来ることを信じてください。しかし、死別の強い痛みが弱まるのには時間がかかります。そしてそれは、あなたや世間の人が、「これくらいたてば立ち直るだろう」と思っている期間の数倍かかる事が知られています。焦らず、時間をかける事が必要です。

死別の悲しみが弱まるのには死別と向き合う必要がある

死別の痛みが弱まるのは、時間が必要なだけでなく、あなたがこの死別と言う事実に向きあい、日常生活をできる範囲で行い、自分の気持ちを語り、考え、選択をし、行動をし、それを後悔し、その次にはまた少し納得のいくようにやってみる、こういった活動が不可欠です。死別の苦悩の中で、多くの決断があなたを待っています。その一つとして簡単な決断はないかもしれません。しかし、この自分ではどうにもしようのなかったお別れの中で、自分で選択できることもたくさんあります。死別には選択肢がありませんでしたが、死別と向き合う方法はあなたにたくさんの選択肢があります。

しかし、助けは求めればそこにあり、一人で立ち向かう必要はない

そして、死別の悲しみに向かい合うのに、すべてを一人で行う必要はありません。確かに、一番重要な決断を他の人が代りにしてしまうわけにはいきません。しかし、周りの友人、共に悲しむ家族はあなたを一人でこの試練を背負っていくべきだとは思ってないのです。助けは求めればそこにあります。

さて、それでは

このセクションは、メニューの上から順に進んでいくと、大体うまい具合に行くように考えてあります。まず、グリーフについてのおさらいで、このページに書いたことをもう少し詳しく見ていきましょう。このセクション内のページには必要に応じて、グリーフ研究のセクションにリンクが張ってあります。こちらは、こういった死別の悲しみについて勉強してみよう、という人のために書いてあるので、もう少し掘り下げて、いろいろな事が書いてあります。興味があればそちらの方も読み進め、そうでなければこのセクションにとどまって頂いても全く結構と思います。
また、 悲しみの中にある人への指針には、生活を行っていく上で参考になるアドバイスがまとめられています。
そして、英知の言葉のセクションには、古今東西の、死別に関して参考になると私が感じた言葉が書かれています。何とも言葉にできない気持ちにぴったりする名言が見つかるかもしれませんので、そちらもよろしければご覧になって頂きく思います。