よくある誤解

このセクションの他の部分と重複する部分はありますが、死別、悲嘆、グリーフに関する「よくある誤解」をまとめてみました。

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死別の悲しみはおおよそ1年くらいで消える。
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死別の悲しみが続く期間を語るのに「普通」や「平均」は意味のないことです。人それぞれにグリーフの形があり、ペースがあります。そして、多くの専門家が、死別に適応するには思っているより長い期間が必要だ、と考えています。関連リンク:死の適応にはどのくらいの時間がかかるか
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痛みは我慢すれば早く消える
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喪失の痛みを我慢したり、現実以上に過小評価したり(大したことはない、大丈夫)することは長期的にはマイナスにしか働きません。自分の悲しみを認め、向き合うことが真の回復には必要です。
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喪失に向き合うには強くある事が大切だ
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悲しい、怖い、寂しいといった感情は喪失につきものです。泣いてしまっても、それはあなたが「弱い」からではありません。強がることで、あなた自身、家族や友人を助けられる、ということはなく、自分の本当の感情を表現することがあなたと周りの人を助けることにもなるのです。
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泣かないのは悲しんでいないからである
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確かに、悲しさに涙が出るのは当たり前のことかもしれませんが、それだけが悲しみの表現ではありません。泣かない人、も泣いている人と同じように強い痛みを感じていることもあるのです。
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自分の人生が先に進んでいくことは故人のことを忘れた事
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人生を先に進めるというのは,、愛する人の死を受け入れたということで、その人のことを「忘れた」り「過去のことだと片付けたり」したのではありません。新しい人生を進んでいく事と、故人の思い出があなたの一部であることに何の矛盾もありません。
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死別の事は話すと辛いだろうからその話題には触れない方が良い
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悲しみの渦中の人は喪失について話をしたいことが多いのです。「亡くなった人、その死について話をしたいか」聞いてみるのが良いでしょう。一般的には、繰り返し喪失の話をするのが一番の適応への道です
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亡くなった人を忘れられないのは適応が進んでいない証拠
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亡くなった人の存在を感じ、故人との関係を続けていくことは異常なことではなく、逆に喪失への適応に有意義であると言えます。 故人を忘れずに、有意義な生を送ることは可能です。
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遺族が笑うことがあるのはおかしい
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24時間悲しみ続けることなど不可能です。遺族が笑いを取り戻すことは不謹慎なことではなく、かえって回復への糸口を見つけた証拠かも知れません。
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遺族が故人の声を聴いたり、姿を見足りるのは精神に異常をきたしている証拠で医者にかかるべきだ。
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故人の姿を見たり、声を聴いたり、存在を感じるのは非常に一般的な喪失への反応で、心配することはありません。
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悲しみが強ければ強いほど、長ければ長いほど故人を愛していた証拠
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確かに悲しみが強いのは、絆が強かった証かもしれません。しかし、死の衝撃は、その死に至るまでの経過や、遺された者の心持など、多くの要素に影響され、愛の量と悲しみの量を比較するのは意味のないことです。また、遺された者の中には一向に前に進むことを拒み「悲しむことだけが愛していた証、故人と自分をつなぐもの」になってしまう人もおり、こちらは逆に、死別への適応に問題があると考えられます。