助けを求める

グリーフの痛みを経験している間、時に「自分だけの力ではどうにもならない」「行き詰った感じがする」と感じることもあります。そんな時、あるいは周りからそうすすめられた時には、医師、専門家やほかの人に助けを求めることが回復のきっかけになることもあります。支援を受けないで、たった一人でグリーフと向き合う必要などないのです。

どんな時に助けを求めるべきか

行き詰ったと感じるとき

ロバート・ニーメイヤーは「〈大切なもの〉を失ったあなたに ― 喪失を乗り越えるガイド」の中で、どのような時に助けを求めるべきかの指針を紹介しています。
一つ目は「自分のグリーフワークが「行き詰った」と感じるとき」です。激しい苦痛が絶え間なく続き、自分や他人の平安な生活を脅かし、日常生活に支障をきたしている。あるいは逆に、死別後かなりの時間がたっているのに何も感じられない、といったケースです。また、
もう一つは自分が「このままでよいのか、専門家に会うべきか迷った時」です。ニーメイヤーは言います。「みな、自分の努力で喪失体験に意義を見出さなければならないし、残りの 人生に新たな意味を探すことを試みることも必要ですが、だからと言って誰からも心の支えやアドバ イス、実質的な支援を受けないで、たった1人で英雄になる必要など決してありません」と。

このような状態にある時

また、ニーメイヤーは次のようなケースは一つでも誰かに相談することが大切だと述べています。

  • 深刻な罪悪感:愛する人の死に直接関連して、あなたがとった行動ないしはとらなかった行動についてではなく、それ以外のことについて、深刻な罪悪感がある。
  • 自殺の検討:「死んだ方がまし」と思う。愛する人と再会したいという気持よりも、ただ自殺し たいという願望が勝ってしまう。
  • 極度の絶望感:どんなに努力しても、生きる価値がある人生を決して取り戻すことなどできない と感じている。
  • 長期におよぶ興奮やうつ状態:「操状態」と「うつ状態」が何ヶ月も続いている。
  • 生理的症状:胸を刺すような痛みや体重の激減など、身体の健康が脅かされている。。
  • 制御できない怒り:友達や愛する人々が寄りつかなくなるほどの怒りや、自分が喪失を体験したことに対する「復習の陰謀」を抱いている。
  • 持続的機能障害:仕事や日常生活の雑事をこなす能力が損なわれている。
  • 依存症:喪失の痛みを消滅させるために薬物やアルコールを大垣摂取し、 依存している。

PTSDの症状があらわれているとき

死の様子を目撃してしまった、一緒に事故や災害にあった、というようなケース、また亡くなったことに直面したときの精神的ショックが大変強い場合、PTSD(外傷後ストレス障害)の症状が表れることがあります。PTSDは、大変強い衝撃を受ける体験をしたあと、その記憶がしきりに思い出され、それによって日常生活が困難をきたすようになってしまう疾患です。次のような症状が1ヵ月以上続く場合には、PTSDを疑う必要があります。

  • 死の記憶がまるでその場にいたかのようによみがえる。
    • 本当は思い出したくないのに、死の場面を思い出させるような些細なきっかけ(サイレンの音など)で、記憶が勝手に(「侵入的」といいます)よみがえってく るもの。まるでその場にいるような感じを覚え、そのときの光景や音、恐怖感がまざまざとよみがえります。生々しい夢としてみることもあります。
  • 記憶を思い出さないように関係あることを避ける
    • 死の現場付近に行くことを避けたり、関係あるニュースやテレビが見れなかったりという形で表れます。人によってはそのため仕事などの社会生活に支障をきたしたりします。 また、感情が麻痺して喜びや悲しみの感情の実感がなくなったり、未来が短縮したような感じ(早死にするに違いないなど)や、将来のことが考えられなくなったりします。
  • 神経が興奮した状態が続く(過覚醒)
    • 神経の興奮がおさまらないことからくる症状。夜眠れない、何度も目が覚める、イライラする、ちょっとしたことでも敏感になる、何となく不安や恐怖感が消えないなどの症状として表れます。

自助グループ・サポートグループに参加する

共通な悩みをもつ、あるいは共通な難しい経験をした人たちがお互い支えあうために集まって出来ているのがグリーフを抱える人のための自助グループやサポートグループです。こういったグループの温かい雰囲気の中で、語り、聞いてもらい、人の話を聞く事が大きな助けとなることもあります。詳しくは自助グループについてをご覧ください。

 

グリーフカウンセラーの力を借りる

現在のところ、グリーフカウンセラーは公的に認定された資格ではありませんが、民間の機関がグリーフカウンセラーとして活動するためのトレーニングを提供しています。受講者は心理療法士、看護師、葬儀関係者、死別経験者など様々ですが、グリーフに特化した知識をもち、死別の痛みの只中にある人のサポートをすべく活動しています。

グリーフカウンセラーは専門的な知識を持っているだけでなく、グリーフに悩む人のお話を「共に歩む」姿勢で伺ったり、苦しむ人の回復に有効なアドバイスをする訓練を受けています。これによってある程度の複雑な悲嘆を解決するお手伝いもできると考えられます。
もちろんグリーフカウンセラーにも限界はあり、医療機関のほうが適切に対処できると考える場合は医療機関をご紹介する事も行っています。
実際カウンセリングを受けられるカウンセラーについてはカウンセラーリストを参照してください。

 

医療の力を借りる

お医者さんに相談するのも方法です。多くの人がかかりつけの内科などの一般医に身体的な症状、例えば不眠や頭痛などの症状を訴えています。医師への相談がその他のサポートと大きく違うのはは医師の場合、身体的症状に対して投薬が出来るというメリットがあります。
また、こういった一般医は精神科や心療内科など、普通なじみのない専門医を紹介してくれる窓口にもなります。最近では精神科や心療内科では臨床心理士(カウンセラー)と共に対応することも多く、医師の治療+臨床心理士の相談というコンビネーションを使うことで有効に問題の解決を行うことが可能です。
また、先にあげたグリーフカウンセラーも、うつ病、パニック障害、PTSD、アルコールや薬物の乱用などには有効に対処できませんので、医療機関への受診をお勧めする場合もあります。

最近のグリーフケアへの関心の高まりとともに、グリーフケアに特化した診療を行う病院も出てきました。まだ、全国にごく少数ですが、ここに紹介します。

  場所 健康保険 その他
聖路加国際病院精神腫瘍科 東京都
中央区
利用可 予約制
城西病院内科「悲嘆ケア外来」 長野県
松本市
利用可 予約制
淀川キリスト教病院
精神神経科
グリーフケア外来

大阪市

東淀川区

不可

初回3,000円/30分

予約制

第2・4土曜日(9:00~12:00)

2回目以降は臨床心理士が対応する

神戸赤十字病院心療内科 兵庫県
神戸市
利用可 予約制
三木市民病院 兵庫県
三木市
利用可 がん患者の遺族のみ。予約制
埼玉医科大学国際医療センター 埼玉県
日高市
利用可 がん患者の遺族のみ。予約制